LIXIL トステムとINAXの内紛 ▲530億円の赤字 潮田会長退任へ、瀬田氏の報酬11億円
<CEO更迭問題の元凶、イタリアの建材会社>
2011年12月、LIXILはイタリアの建材メーカーでカーテンウォールを世界27ヶ国で展開しているパルマスティーリザを、ルクセンブルクの投資ファンドから5億7486万ユーロ(約594億円/当時)で取得した。
2017年8月、LIXILは、Permasteelisa S.p.A.の全株式を中国の建材メーカーGrandland Holdings Group Limited(廣田控股集團)に、基本譲渡価額4億6700万ユーロ(約597億円/当時)で売却することを決定した。
しかし、
2018年10月、米トランプ政権が、中国企業への売却を承認しなかった。パルマスティーリザ社は、売上高の4割を米国で売り上げている事情もあったのだろう。(2018年3月アルミ・鉄鋼制裁により、米国でのアルミ価格は高騰している)
<本題>
LIXIL(リクシル)グループは18日、潮田洋一郎会長兼最高経営責任者(CEO)が業績悪化につながった前社長兼CEOの瀬戸欣哉氏の任命責任を理由に、6月開催予定の株主総会を経て会長兼CEOを退任する考えを明らかにした。5月20日の取締役会でまずは取締役を辞任するという。
リクシルGは同時にイタリアの子会社の減損損失計上により2019年3月期の純損益が▲530億円の赤字になったもようだと発表。
従来は15億円の黒字を予想していた。前期は546億円の黒字だった。
同日都内で会見した潮田会長は「今回の巨額損失の一義的な責任はCEOだった瀬戸氏にある」と述べた上で「瀬戸氏を任命した私の責任もある。38年間取締役を務めてきたが瀬戸氏を起用したことが私にとって最大の失敗だった」と退任に至った理由について語った。
山梨広一社長兼最高執行責任者(COO)も株主総会終了後の任期満了をもって取締役を退任する。
会見に同席した山梨氏は株主総会までは社長兼COOを務め、それ以降については新しい指名委員会や取締役会の判断に委ねると述べた。
リクシルGのトップ人事を巡っては昨年、瀬戸氏が社長兼CEOから退任し、創業家出身の潮田会長がCEOに復帰し、指名委員会委員長だった山梨氏が社長に就任していた。
同社が後に発表した報告書で潮田氏が瀬戸氏との意見対立からこのまま瀬戸氏に経営を任せることはできないと考え、指名委員会でのCEO交代を提案したと指摘されている。
一連の動きを受け、英投資会社マラソン・アセット・マネジメントらリクシルG株主の一部が今年3月、「指名委員会の2人が自らを指名するのは利益相反の可能性が高く、深刻なガバナンス不全だ」などとしてリクシルGに対し、潮田会長と山梨社長の取締役からの解任を目的とする臨時株主総会の招集を要求していた。
4月にはしびれを切らせた一部株主が株主による総会招集許可を東京地裁に申し立てた。
潮田会長、山梨社長が、取締役を退任すると臨時総会の当初の開催目的は達せられることになる。
両氏は3月の株主の要求に対し、定時総会と日程的に近いことも挙げ、請求の取り下げを求めていくとしている。
リクシルG広報担当の布施木昭彦氏は、5月下旬に臨時株主総会を開催できるよう準備を進めながら株主との対話を継続する方針だと話した。
前CEOで取締役の瀬戸氏はCEOへの復帰に意欲を持っており、定時株主総会で自身を含む8人の社内・社外取締役候補を提案する考えを発表している。
これに対し、潮田会長は「日本の経営者でトップクラスである11億円もの年俸を得ながら、この赤字を招いた責任をどのようにお考えなのか、大変いぶかしく感じている」と批判した。
アシメトリック・アドバイザーズのストラテジスト、ティム・モース氏(シンガポール在勤)は「潮田氏と山梨氏が辞任したのは良いニュースで、解任を求めていた株主側が勝利した珍しいケースだ」と話した。
マラソン・アセット・マネジメントの広報担当は、現時点でのコメントを控えた。
以上、ブルームバーグ参照
潮田氏の在任期間が長過ぎ、ワンマンになっていた。元々、トステム側とINAX側が会長と社長を出していたが、INAXが無視されたようだ。
瀬戸氏は経営のプロというが、住友商事での実績はあるものの、MonotaROのCEOくらいだろう。LIXILのようなグローバル企業を経営していたわけではない。
LIXILグループ
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連結/百万円
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売上高
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営業利益
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←率
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税前利益
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帰属利益
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19/3期・前予想
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1,845,000
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40,000
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2.2%
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34,000
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1,500
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19/3期修正予想
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1,832,000
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-15,000
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-18,000
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-53,000
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19修予/18期比
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0.1%
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18/3実績
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1,829,344
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59,107
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3.2%
|
65,100
|
54,581
|
17/3期実績
|
1,786,447
|
67,535
|
3.8%
|
66,007
|
42,503
|
16/3期実績
|
1,890,450
|
39,011
|
2.1%
|
-7,087
|
-25,605
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瀬戸欣哉取締役の略歴
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1960年6月生
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1983年4月
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住友商事入社
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1990年7月
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米国住友商事会社(現 米州住友商事会社) デトロイトオフィス プロジェクトマネージャー 特殊鋼製品担当
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1992年7月
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プレシジョンバーサービス・インク バイスプレジデント
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1997年5月
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アイアンダイナミクスプロセスインターナショナルエルエルシー代表取締役社長
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1999年9月
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住友商事 鉄鋼第一事業企画部 eコマースチーム長兼マネージャー
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2000年10月
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株式会社MonotaRO取締役
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2001年6月
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同社代表取締役社長
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2006年3月
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同社取締役 代表執行役社長
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2010年11月
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ゾロツールズ・インク(現 ゾロ・インク)取締役
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2011年8月
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株式会社K-engine代表取締役社長
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2012年3月
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Grainger Asia Pacific株式会社代表取締役社長
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2012年3月
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株式会社MonotaRO取締役 代表執行役会長
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2012年4月
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ダブリュー・ダブリュー・グレンジャー・インク バイス・プレジデント アジアパシフィック担当
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2013年10月
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同社シニア・バイス・プレジデント オンラインビジネス担当
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2013年12月
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ジーダブリューダブリューユーケーオンラインリミテッド(現 レイザーオッカム・リミテッド)CEO
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2014年3月
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MonotaRO取締役会長/(現)
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2016年1月
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当社代表執行役兼Chief Operating Officer
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2016年1月
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LIXIL取締役社長兼CEO(代表取締役)
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2016年3月
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同社取締役社長兼CEO(代表取締役)兼LIXIL Water Technology CEO
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2016年5月
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GraceA取締役(代表取締役)
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2016年6月
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当社取締役 代表執行役社長兼CEO
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2016年11月
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LIXIL取締役社長兼CEO(代表取締役)兼LIXIL Water Technology CEO兼LIXIL Housing Technology CEO
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2018年4月
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当社取締役 代表執行役社長兼CEO兼LIXIL Water Technology CEO兼LIXIL Housing Technology CEO(現)
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2018年4月
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LIXIL取締役社長兼CEO(代表取締役)
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2018年11月
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LIXIL取締役社長(代表取締役)/(現任)
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